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詩集「あったかい手」

詩集「あったかい手」小野﨑美紀 編

詩集「あったかい手」

▲上記画像をクリックすると「あったかい手 通常版」の中身が一部ご覧になれます。


2011年(平成23年)3月11日14時46分、東日本大震災による津波の被害が甚大だった地域のひとつ石巻市渡波地区において、高台にあった曹洞宗輝寳山洞源院では多くの被災者を受入れてきました。

命からがらに寺に駆け込んだ地元の人たちは、多いときで400人もの被災者が身を寄せ合っていました。
日々つらい避難生活での体験と向き合いながら、お互いの共同生活の中で少しずつ笑顔を取り戻そうとする出来事やことばを、小野﨑秀通住職の妻・美紀さんが綴ったのが 詩集「あったかい手」です。

また、この詩集に感銘を受け、海外にも伝えようと英訳を引き受けて下さったのが東北大学国際交流センター非常勤講師の設楽宏二さんです。

さらに、詩集「あったかい手」と美紀さんの体験をCDにしてほしいとの要望から、仙台在住のピアニスト・作曲家の稲垣達也さんが曲を付けてくださり、朗読CD「洞源院避難所 5ヶ月間のことば」が出来上がりました。


詩集「あったかい手」祈り - 序文にかえて

あの地震はいったい何だったんだろう。

あんなどでかい暴れ波をおくりこんで、私の大事なふるさとをぶち壊した。

人々は逃げ惑い、車をプカプカ浮かし遠い場所へと投げつけた。木によじ登った人をバッサバッサ振り落とし、大口を開けて大切なみんなのマイホームを噛み砕いた。ドンガドンガと巨人の足で海岸線を蹴っ飛ばし、私の大好きだった長浜も浜がなくなり堤防がめくれている。

これから咲く浜木綿(はまゆう)の花は、だれを思って咲くのだろう。

娘達が友達からもらってきた猫の「おはな」を懐に入れ、絶対おまえといっしょなんだから、と、おはなに言った。おはながいなくなったら娘が帰ってこないと思い込んでしまっていた。南無観世音、南無観世音と懐のおはなと唱えていた。400人の避難者のお世話をしながら…。

水がない、トイレが詰まる。電話がダメで、携帯電話もダメ。みんなを消毒しなくてはならない。子供達のちっちゃいクツを、泥だらけのデカ靴が踏みつけている。挨拶をしない。他人の家で、大声でわめいている。

-おまえはいったいどこの何者だ!

-寒い! 暗い! 狭い! せき込む! 発熱! 嘔吐!

…一秒たりとも気がゆるせない。次々と余震が襲ってきた。これが、私の嫁いだ、今年(平成23年)950年になる寺のこと。

3日目の朝、長女真弓がずぶ濡れで、胸まで浸かって、泥水をかき分け歩いて帰ってきた。感謝、感謝。南無観世音、南無観世音。

4日目の昼、次女の静香が羽黒山に逃げて助かり、無事に帰った。涙、涙。南無観世音、南無観世音。

家族全員無事が確認できた。ようやく、朝、顔を洗って眉を描き、薄紅をひいた。そのとき私は、300人の母さんになっていた。

- 盆はうれしや別れた人も はれてこの世に会いに来る
-(どこで! 嬉しいて! そんな気持ちになれるかって!)

震災から四十九日が過ぎ、二ヶ月が過ぎ、百ヶ日忌を迎えようとしている。悲しみのどん底にいる縁ある人々を、せめてお盆様までに、仏さまに逢える嬉し涙にしてあげたい。

震災で残していただいた私の命、み仏さまに寄り添います。

もしかするとみ仏さまを忘れると、どこかでまた大暴れされるかもしれない。でも、みんなの心の中に祈りの心があるかぎり、絶対にくじけず、立ち上がります。どうぞみ仏さまお守り下さい。

南無観世音、南無観世音大菩薩。  合掌

洞源院寺族 小野﨑美紀

平成23年5月10日

『避難所の子供たち』(発行・洞源院)より抜粋


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